タマリンド
アフリカの熱帯が原産のマメ科チョウセンモダマ属の常緑高木で、成長すると高さ数十mにもなります。種または挿し木から栽培され、手のかからない丈夫な植物ですので、熱帯地域では街路樹や庭木として普通に植えられているのをよく見かけます。卵型の小さな葉の樹木で、赤っぽく筋の入った黄色い花を咲かせた後に7~20cmほどのソラマメに似た形状の実を付けます。実が熟すと茶色になり、そのサヤの中には黒褐色のペースト状の果肉が満たされています。ほのかな甘みと酸味が強いのが特徴的なパッションフルーツの一種で、タイ料理などでその果肉をスパイス(調味料)として様々な料理に使用しています。
特にインドや南アジアで利用されているため、インディアンデーツ(デート)とも呼ばれ、和名ではチョウセンモダマと呼ばれています。
日本ではまだまだ馴染みがうすいですが、タマリンドの味は甘酸っぱく、少しくせのある味で、日本の食べ物でいうと甘酸っぱい梅干しや干し柿などと表現されることが多いです。
普通は「タマリンドペースト」として濃縮ペースト状態か、ブロックの形で売られていますが、インドの食料品などを扱う店ではホールのサヤが置かれていることもあるそうです。インドや東南アジアでは、レモン汁やライム汁を使うように酸味を出したいときに使われ、
スパイスとしてカレーやスープなどのアクセントとして魚料理や鶏肉料理によく合います。
タマリンドの歴史
原産地のアフリカでは昔からタマリンドは実だけでなく、樹皮や葉も区民薬として利用されてきました。果肉には整腸作用や解熱効果、樹皮には止血や鎮痛、強壮作用に効果があり、葉をすり潰した汁には関節の炎症や目の痛みに効果があると言われおり、インドの伝統的医学であるアーユルヴェーダにも古代から伝わり重宝されています。
中世にはアラビア人にも人気が出て、ヨーロッパへは十字軍によって運び込まれたと考えられています。イギリスではチューダー王朝期に渇きを癒す植物として知られていました。17世紀にはスペイン人によって西インド諸島に運ばれ、以来主要な栽培地のひとつとなっています。
タマリンドの利用方法
エスニック料理には欠かせない自然派酸味料がタマリンドペーストです。料理に加えることで、コクのある甘酸っぱい酸味を与えてくれます。輸入食材店や大きめのスーパーなどで手に入れることができます。カレーやチャツネ、スープ、お菓子などに酸味やとろみを加えることに使われます。また、そのまま果肉を砂糖水に溶いて、清涼飲料水としても飲むこともできます。
原産地での使われ方としては、インドではカレーやサンバル(レンズ豆と野菜のスパイス豊富なシチュー)、ラザム(スパイスの効いたレンズ豆のスープ)、チャツネなどに使われています。
タイではトムヤムクンなどのスープに入れられ、西インド諸島ではシロップから清涼飲料が作られてるのを見かけます。
ジャマイカでは米料理やシチュー、デザートなども甘酸っぱいメニューに使われています。豆からはジャムやゼリーを作るのに使うペクチンが抽出され、西洋ではウスターソースなどの加工調味料を作るために輸入されています。
その他の利用法
タマリンドは緩効性の下剤になり、インドでは赤痢などの腸の病気の薬に処方されています。ビタミンに富み、肝臓や腎臓にも良いとされています。
また、ビタミンCや抗酸化化合物によって身体の免疫力を強化してくれ、体内の寄生虫の発生を低減したり、マラリア予防にも効果があるとされています。
関節や目、傷口の痛みや炎症、関節炎、リウマチ、および痛風などの緩和に対し、抗炎症能力があるとされています。結膜炎など、多くの薬草療法でも使用されています。
タマリンドの効果・効能
タマリンドは健康効果だけでなく、アンチエイジングなどの美容にも効果がある万能フルーツとされています。
タマリンドには酒石酸やクエン酸というAHA(アルファヒドロキシ酸)の一種が豊富に含まれており、疲労回復効果と腸内環境を整える効果があります。ほかにも、脂肪の蓄積を防ぐ働きがあるため、コレステロール値を下げ、血糖値を正常に保つ効果があります。
タマリンドの果肉に含まれているカリウムは体内の余分な塩分を外へ排出する働きがあり、また鉄分はヘモグロビンを作る働きがあるため、高血圧予防や貧血予防にも効果あります。
その他ビタミンやミネラル、クエン酸の作用に加え、食べ物を消化・分解する「酵素」がたっぷり含まれているので、消化機能の改善が期待できるでしょう。また抗酸化作用があるので、皮膚や内臓などの老化防止、美肌にも効果が期待できます。
- 疲労回復
- 整腸作用 便秘解消
- 動脈硬化予防 糖尿病予防
- 抗酸化作用
- 高血圧予防 貧血予防
- 消化機能改善
- 老化防止 美肌効果
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