胡椒(コショウ)/ Pepper

世界中で愛されるスパイスの王様

胡椒(コショウ)とはインド原産のコショウ科コショウ属の植物の果実で作られた香辛料のことです。唐辛子、マスタードと並んで世界3大香辛料の一つとされていて、広い用途や歴史上の重みから「スパイスの王様」と呼ばれることもあります。世界中のどんな地域を旅しても、塩の隣にコショウが置いてあると言われるほど親しまれている調味料です。

口内に広がる爽快な香りと口腔を刺激する強い辛味があります。辛さは、唐辛子がヒリヒリするホットな辛みであるのに対し、コショウはピリリと刺すような刺激的な辛みです。

 

コショウの果実を原料として、収穫時期や製法の違いにより、ブラックペッパー、ホワイトペッパー、ピンクペッパー、グリーンペッパーの4種の風味の異なるコショウが作られます。(ピンクペッパーは日本ではコショウと異なる植物から採られた果実を乾燥させたものが一般的です。)

 

コショウの歴史

古代からインド地方の主要な輸出品で、当時から貴重なものだったそうです。ヨーロッパで中世までコショウと混同されていた「ヒハツ(長コショウ)」や東南アジアや沖縄県で利用されている「ヒハツモドキ」はコショウ科コショウ属の仲間、近縁種で、英語名のペッパーは、サンスクリット語(梵語)の「ピッパリー(長こしょう・ロングペッパー)」に由来します。日本での呼び名である「胡椒」は元々中国で付けられた呼び名で、胡(中国から見て西方・北方の異民族を指す)から来たことを意味しているそうです。

胡椒はピペリンによる抗菌・防腐・防虫作用があり、冷蔵技術が未発達であった中世においては料理に欠かすことのできないものでした。大航海時代に食料を長期保存するために極めて珍重され、またヨーロッパの様々な料理に使われています。インド航路が見つかるまでは「コショウ一粒、黄金一粒」と言われたほどで、実際に中世のヨーロッパでは金1オンスとペパー1オンスが交換されたりお金の代用として使われたほど珍重されていたそうです。

日本には中国を経由して700年代頃に伝来していたと考えられています。正倉院の御物の中にも胡椒が含まれており、当時は生薬として紹介されていたようです。その後も中国から輸入され続け、平安時代に入ると調味料として利用されるようになり、1500~1600年頃、唐辛子が伝来するまでは辛味を付ける調味料として幅広く利用されていました。江戸時代には広く親しまれるようになり、うどんを食べる時に薬味として使用されていたようです。

 

コショウの効果・効能

胡椒には辛さの元であるピペリンという成分が含まれ、昔から防虫作用、抗菌作用、防腐作用などがあると考えられ利用されてきました。抗酸化作用と血行促進作用から、血行不良・冷えに効果があるとされています。また、消化器官の活性化も促し、消化機能を向上させる作用があります。エネルギーを燃やす作用もあるため、代謝を上げてダイエットを促す効果もあると言われています。

漢方薬としても胡椒は生薬のひとつで、筋肉のコリをほぐし、解熱、胃を温める、食中毒の軽減などに効果があると言われています。

高い効能が期待できる胡椒ですが、食べ過ぎると胃腸を荒らし体調不良の原因になります。
ごく少量でも効果はあるので、過食しないようにしましょう。

 

 

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