サフラン/ Saffron / Crocus sativus / 番紅花

最も高級なスパイス サフラン

サフランは最も高価なスパイスで、やはり高価とされているバニラの10倍、カルダモンの50倍もの値がついています。アヤメ科サフラン属の多年生の球根植物で、学名をクロッカス・サティウス(Crocus sativus)といいます。

スパイスとして利用するのは、美しい紫色の花の糸状の雌しべを干して乾燥させたもので、10,000本集めてもやっと60グラムほどにしかならないとても貴重なものです。ひとつの花から3本しか取れず、しかも手で摘み取らなくてはならないので高価になってしまうのです。(ちなみに、3本の雌しべがあるように見えますが、実は一本の長い雌しべが途中で3本に枝分かれしているのです。)

香辛料としてのサフランの外観は濃い赤褐色の糸状で、上品でエキゾチックな芳香があります。口の中に長く残る独特の香りは、刺激と苦味もありますが芳しい風味で、少量でたっぷりの料理を味付けでき、料理を美しい金色に染めます。

このクロッカス・サティウスは3倍体という特殊な種類で、野生では育たず、人間が根茎を分割して植えるなどしないと増やすことができません。サフランの見事な紫色の花は、人間が大変な労力をかけて繁殖させ、しかも収穫するチャンスは花が開く朝だけなので、高価なのも頷けます。

サフランの歴史

最初はアジアで栽培されていたと考えられていて、約3000年以上前から東地中海地方の古代文明の記録に度々登場します。エジプト人やローマ人も料理や酒の色付けの目的や、香水、薬などに幅広く利用していたようで、古代ギリシャではサフランの黄色を珍重し、王族だけが使うことを許されるロイヤルカラーとされた時代もあるそうです。
7世紀ごろまでに、中国でも知られるようになり、薬効や香り付けに使われるようになりました。
10世紀にはスペインでも栽培され始めますが、これはおそらくアラビア人たちによって運ばれたのだろうと考えられています。
11世紀にはフランスやドイツにも広まり、14世紀にはイギリスにも渡りました。この長い間ずっと、サフランは高値で取引され、混ぜ物をしたりした者には死刑をも含む極刑が課せられたほどだったそうです。

日本へは江戸時代に薬として伝わり、現在は大分県の竹田市にて国内の8~9割が生産されています。

現在の世界での主要生産国はスペイン、ギリシャ、フランス、トルコ、イラン、モロッコ及びインドのカシミール地方などですが、世界の生産量の85%はイランが占めているそうです。

サフランの小話

クレオパトラは求婚者と顔を合わせる前に、サフランを入れた馬乳の風呂に入ったといわれています。

ヨーロッパではサフランの色と香りは、人の気持ちを引き立て、明るくすると信じられていました。16世紀のイギリスでは、陽気で楽天的な人に会うと、「サフランのベッドで寝ていたのだろう」といっていたというエピソードもあります。

サフランの利用法

サフランは昔からソースやスープなどの料理によく使われています。スペイン料理の
サルスエラやパエリア、ペルシャ料理のピラフ、フランス料理ではブイヤベースに、イタリア料理ではミラノ風リゾット、他にもモロッコ料理のクスクスやインド料理のサフランライスなど、各国の魚料理や米料理にはサフランの生み出す強烈な黄色とその香りが欠かせません。
イギリスにはサフランケーキと言うお菓子もあり、またシャルトリューズなどのリキュールにもサフランが入れられています。トルコではお湯を注いでサフランティーとして飲まれています。

サフランの色素は水溶性で油には溶けにくく、パエリヤなどの場合にはあらかじめ水につけておいて、色と香りを充分に出してから使います。

サフランの効果・効能

サフランは、健康に良い特性を多く持っているため、 昔から料理だけでなく薬としても使われてきました。生薬としては番紅花(ばんこうか)と呼ばれ、鎮静、鎮痛、通経作用があるとされています。その他にも、血行促進、せき止めや強壮の薬としても重宝されてきました。 最近の研究では、サフランにはアルコール性の記憶障害を改善したり、 安眠促進効果、発ガン予防効果があることが確認されているそうです。

  • 疲労回復 頭痛解消
  • 冷え性解消
  • 生理痛 生理不順 の予防・改善
  • 更年期障害 月経困難症
  • 血行改善 動脈硬化改善
  • 安眠促進
  • 発ガン予防

 

 

参考・参照 :