コリアンダー(パクチー、香菜)/ Coriander

コリアンダーとパクチー

独特の香りが特徴のパクチーは、セリ科の一年草。コリアンダーは英語圏での呼び名で、パクチーはタイ語。香菜は中国語での呼び方で、どれも同じ種類の植物の事をさします。
日本では近年のエスニックブームもあり、種子を使った香辛料を「コリアンダー」、生の葉を食材として使用する場合に「パクチー」と呼ぶことが多くなっています。

原産地は地中海沿岸で、古代エジプトやローマ時代から薬草として利用されていました。紀元前1500年代の医学書に、その料理法が紹介されています。またコリアンダーの語源は葉や未熟な種子は南京虫のような強い香りがすることから、ギリシア語のkoris(南京虫の意)ともいわれています。

高さ25cm程度に成長し、葉や茎に独特の芳香があります。熟した果実にはレモンにも似た香りがあり、外観は白色の縦筋がある淡褐色。内部に2個の種子が合わさり、直径3~5mmくらいの球形になっています。コリアンダー(種子の香辛料)は葉の部分と違ってクセの少ない風位なので使いやすく、ソーセージやシチューなどの肉料理や、ピクルスなどの野菜料理、パウダー状にしてドリンクやクッキー、パウンドケーキなどの焼き菓子などにも使用されています。

 

 

コリアンダーの歴史

コリアンダーは、数千年前の古代エジプト時代から、薬用や調味料として人類が用いてきた最古のスパイスのひとつと考えられています。メソポタミアの各地から発掘された楔状文字板(けつじょうもじばん/紀元前3500年頃)の香料植物リストの中にも、その名が刻まれています。薬用としては、医学の祖と呼ばれるギリシャのヒポクラテス(紀元前460~370年)が、「胸やけを防ぐ」などとその効用を説いたとされています。
アジアでは紀元前2世紀ごろ、漢の時代の役人が南シナ海での貿易で中国に持ち帰ったことで東南アジアに伝わったと考えられています。その後、アジア全土に広がりタイにも伝わったそうです。

 

世界各国での呼び名と使われ方

日本では正式には和名「コエンドロ」があるのですが、あの虫に似ていることから「カメムシソウ」と呼ばれていたりします。

中国では「香菜(シアンツァイ)」と呼ばれ、スープ、麺類、粥、鍋料理などの風味付けに利用される。

タイでは「パクチー」と呼ばれ、トムヤムクンなどのスープやタイスキをはじめとしたさまざまな料理の薬味に用いられる。

ベトナムでは「ザウムイ」と呼ばれ、本場の生春巻きやフォーの添え物には欠かせない食材となっている。

中南米では「クラントロ(スペイン語: culantro)」と呼ばれスープやサルサなどに広く用いられる。

アメリカ合衆国ではメキシコからの移民が多く、英語のコリアンダーよりもスペイン語のクラントロに影響を受けた「シラントロ」(Cilantro)の方が一般的な呼称となっている。

ポルトガルでは「コエントロ(ポルトガル語: coentro)」と呼ばれ、魚介類と野菜を主な材料とする鍋料理であるカタプラーナなどの郷土料理によく用いられる。ポルトガル料理の味を特徴づける重要な食材である。

インドでは「ダニヤー」と呼び、カレーにもよく使われるスパイスのひとつである。

 

コリアンダー・パクチーの効果・効能

独特の香りを持つパクチーには、その香りによって得られる効能がほとんどです。健胃作用、食欲増進、整腸作用などの消化器系に効果があります。
その他の効能としては、二日酔いの予防、防腐効果、偏頭痛の緩和、細胞の活性化など、色々な効能があります。また、香辛料から若干離れてしまいますが、パクチーの精油には消臭効果があり、体臭の気になる方には入浴剤としてもオススメです。また、消臭効果と一緒に、精神をリラックスさせる効果もあるので、香辛料としてだけではなく、アロマオイルとしての効能にも期待が持てます

  • 健胃作用、食欲増進作用、整腸作用
  • 二日酔い予防、防腐効果、偏頭痛の緩和
  • 消臭効果
  • 精神安定効果