唐辛子(トウガラシ)・チリーペッパー/ Chilli pepper

唐辛子(とうがらし)について

唐辛子とは中南米原産のスパイスで、ナス科トウガラシ属の果実、あるいはそれから作られる香辛料のことです。トウガラシ属の植物にはさまざまな品種があり、世界には3千品種もあるそうです。ピーマンやシシトウガラシ(シシトウ)、パプリカなど辛味がない種類のものも含まれますが、一般には辛味のある品種から作られる香辛料のことをさします。

とうがらしは、カレーや中華料理、エスニック料理など世界中の料理に利用され、今や欠かすことのできない香辛料のひとつです。日本では細長い「鷹の爪」が一般的でしたが、最近では「ハバネロ」のように小さくて丸みのあるものや、楕円形の「ハラペーニョ」、辛味がおだやかで丸ごと食べられるものなどいろいろな種類のとうがらしが出回るようになりました。

唐辛子には「青とうがらし」や「赤とうがらし」がありますが、未熟なものが青とうがらし(緑色)で、そこから黄色になり、熟したものが赤色の赤とうがらしです。

 

トウガラシの歴史

原産地の中南米では数千年前から広く栽培されていましたが、ヨーロッパに持ち込まれたのは大航海時代の15世紀末以後だったそうです。アメリカ大陸を発見したコロンブスが、インドの胡椒のを求めて航海していたため、唐辛子を胡椒と勘違いし、これが後々まで世界中で唐辛子 (red pepper) と胡椒 (pepper) の名称を混乱させる要因となったんだそうです。それからその刺激的な辛みの魅力と強い繁殖力のため、わずか50年ほどでアジアからアフリカにまで普及していったそうです。
日本には戦国時代に南蛮貿易により伝来しました。唐辛子の「唐」とは、「漠然とした海外」という意味に用いられていた言葉で、唐から伝来したわけではなく、渡来当初は「南蛮胡椒」という名前で呼ばれていました。韓国や中国へは、その後朝鮮出兵などで日本から伝えられたとされています。
メキシコ、タイ、ブータン、韓国、インドネシア、中国の四川や湖南など、調味料・香辛料として唐辛子の使用が盛んな地域は世界中にあり、現在では世界で最も重要なスパイスの1つとして、世界中の料理に欠かせない存在となっています。

 

唐辛子の辛さについて

唐辛子の辛味成分「カプサイシン」は他の辛味成分と違い、人体の粘膜を傷つける事でその辛味を発生させます。(胡椒は「ピリペン」という成分)そのため、多量に摂取し続けると胃炎や食道炎、味覚障害を引き起こす原因になるので注意が必要です。
一方、発汗作用や体温上昇作用もあり、ビタミンA・Bが豊富な事からダイエットや夏バテ防止に効果があるとされています。 またその強烈な辛味には除虫効果があり、ガーデニングや家庭菜園で 害虫よけとして植えたり、果肉を煮込んで除虫液を精製してスプレーしたりする事もできます。食品そのものや容器に入れても防虫効果があるため、米櫃に鷹の爪を入れる事があります

辛さの単位 スコビル値(Scoville scale)

トウガラシの辛さを表す単位としてスコビル値というものが使われているそうです。これはトウガラシをエキスにし、その辛さを感じなくなるためには何倍の砂糖水に溶かさないといけないかを表す単位で、当初は人が実際に試して行われていたそうです。現在はより正確にカプサイシンの量を測定器にかけ直接量るジレット法などが用いられるようになったそうです。

 

トウガラシの保存方法

新鮮な生の唐辛子は水分が多く、あまり日持ちしません。ポリ袋などに入れて冷蔵庫の野菜室で保存して、早めに使い切るようにするのが良さそうです。乾燥させると長期保存が可能になります。風通しのよい場所に吊すなどしてしっかり乾燥させ、保存用袋などに入れて冷暗所または冷蔵庫の野菜室で保存すると良いそうです。

 

トウガラシの食べ方

唐辛子の辛味の元であるカプサイシンは、油に溶けやすい性質があるため、先に油で炒めておくと辛味がしっかり広まります。
また、トウガラシは種が一番辛いと言われることがありますが、実際は種を支える内壁の白いワタ(胎座:たいざ)に強い辛味成分があるそうです。これが種に付着することで種にも強い辛味を感じるのだそうです。そのため辛味を控えめにしたいときは、中身を出さないよう丸ごと使うか、トウガラシしをカットしてワタの部分を取り除いておくとよいでしょう。なお、カットした唐辛子を手で触ったら、しっかりと手を洗うことが大切です。辛味成分が手に残っていると、顔や目を触ったときに目や皮膚が痛くなることがあります。

 

トウガラシの効果・効能

辛味成分カプサイシンは代謝を促して血行をよくしたり、食欲増進、殺菌作用などの効果があるとされます。また免疫を高める効果もあるといわれるので冷え症や風邪予防などに良いでしょう。