インドの黄色 ターメリック

インド原産のショウガ科ウコン属の植物で、ジンジャー（生姜）と同じく根茎を利用し、見た目も生姜に似ています。少し土臭さを感じさせる独特の香りとほろ苦い風味が特徴で、美しい黄色に着色することに使われることの多いスパイスです。

カレーパウダーの主原料のひとつで、インド料理などには欠かせない香辛料です。日本でもウコンとして肝機能の向上に使われたり、食品の着色料として使われたりしています。

高温多湿の気候を好む多年生の植物で、高さ1メートルほどになり、根茎から切り取った切り株状の偽茎で増やします。根塊全体を傷つけないように掘り出し、茹でるか蒸すなどしてから乾燥させます。乾燥後ざらざらした茶色の外皮を剥くと、鮮やかな橙黄色が現れます。取引はホール(加工しないそのままの形)で行われ、消費国で粉末にして売られています。

ターメリックはウコンから作られますが、天然のウコンには約50以上もの種類があり、それぞれに成分の差などがあります。主には春ウコンと秋ウコンの2つに分けられ、ターメリックとして食用に使われるのは秋ウコンです。黄色い色素のクルクミンの含有量が多く濃いオレンジ色をしているのが特徴です。
春ウコンは薬効効果が高く刺激が強いため食用には向かず、健康食品として利用されます。

ターメリックの歴史

原産地のインドでは、紀元前10世紀のソロモン王の時代から栽培されていたと考えられており、伝統医学のアーユルヴェーダや料理のほか、黄色の染料として広く用いられてきました。

その後メソポタミアを経由してパレスチナ方面に伝わり、紀元前7世紀頃には着色用のスパイスとして、サフランと共に記録されています。マルコ・ポーロは旅先でターメリックに出会い、「果実がサフランに似ていて、種類は全然違うが充分代用にできる」と書き残しています。彼はサフランの代用品として、西洋でのターメリックの人気を予感していたことになります。

ターメリックは中国で「鬱金」（うっこん）と呼ばれていました。これは「鮮やかな黄色」という意味のほか、病気で重くなった気分を晴らして爽快になるという意味もあるそうです。その後日本に薬用として伝わり、近年ではたくあんの着色料やカレーパウダーの材料、二日酔い防止のための飲料などに使われています。

ターメリックの利用方法

カレーパウダーの主原料のひとつであり、カレーパウダーの黄色はターメリックの色です。インド料理では欠かせない香辛料で、原産国のインドを中心に南アジアで広く使用されています。カレーのほか、ご飯にターメリックを加えて炊いたターメリックライスやピラフなどにも使われます。香りや味はあまりないため、香味料というよりは着色料としての用途が多いです。
日本ではウコンの名で知られ、悪酔い防止や肝機能向上の健康食品などに使われるイメージがありますが、たくあんの着色料に使われたりもしています。
ヨーロッパではサフランの代用品としてチーズやバターの色付けに用いられたり、市販のソースや加工食品などにも使われ、ブレンドマスタードに入っていることもあります。

油で溶ける色素クルクミン

ターメリックもサフランも黄色で着色するスパイスとして使われます。この2つのスパイスの違いはターメリックの黄色成分「クルクミン」は油に溶け、サフランの黄色成分「クロシン」は水に溶けることです。そのためターメリックを使うときは油と一緒に使うときれいな着色効果が得られます。ターメリックライスを炊くときにバターを入れるのはそのためです。
ターメリックには独特の土臭さがありますが、加熱することで土臭さは感じられなくなります。また魚の臭みをとる効果もあります。

悪魔除けの聖なる植物

インドの伝統医学アーユルヴェーダやヒンドゥー教では、邪悪なものを退ける魔力があるとされるターメリック。お守りとしてターメリックで染めた衣服を儀式の際に着用したり、結婚式が決まった新郎新婦は全身にターメリックを塗り込んで身体を清めたりするなど、神聖な植物として使われています。

ターメリックの効果・効能

ウコンにはポリフェノールの一種であるクルクミンが多く含まれており、肝機能を促進させて解毒機能を強め、胆汁の分泌を促すと言われています。このため、肝機能向上、抗酸化作用、胆汁分泌促進、胃の健康維持、消炎鎮痛、解毒など、沢山の優れた効能を持ちます。
このクルクミンの持つ抗酸化作用により、老化防止の効果や免疫機能の改善も期待できます。また、女性に嬉しい美肌効果として、顔のシミやしわ、くすみなどにも効果があるとされ、実際に肌の美白効果や吹き出物を緩和するなどとして、インドの女性の間で古くから使われてきたそうです。

また、アジアでは強壮剤や肝臓の治療に使われます。また軟膏に混ぜて皮膚の疾患に使うこともあるそうです。

• 肝機能強化
• 健胃効果
• 抗酸化作用
• 老化防止
• 美肌効果
• 消化促進
• 血液循環

利用時の注意点

ターメリック（ウコン）は肝臓に効くと言われますが、摂り過ぎると逆に肝機能に負担がかかる恐れがあります。「正常な肝臓の機能を高める」ことはあっても、病気の肝臓の改善には効果は限定的と言えるかもしれません。摂り過ぎに注意しましょう。
また、妊娠中、授乳中、肝疾患のある場合は摂取を控えましょう。