クミン/ Cumin / 馬芹(ウマゼリ)/ ジーラ

カレーの香り クミン

「カレーのいい香り」と言われてるのは、実はこのクミンの香りが中心なのです。その意味でとてもなじみ深いスパイスといえるでしょう。もっとも歴史の古いスパイスの1つで、現代ではヨーロッパよりもインド、メキシコ、東南アジア、アフリカなどのいわゆる「エスニック料理」に欠かせない香辛料として使われています。

セリ科の一年草で、エジプトなど地中海沿岸東部原産。スパイスとして利用するのは、細かなとげにおおわれた種子で、強い芳香と苦味、辛みが感じられます。形や大きさはキャラウェイに似ていますが、芳香などは異なります。

現在の最大の輸出国はイランですが、南アジアやヨーロッパなどでも栽培されています。カレーの国インドでは「ジーラ」と呼ばれ必須の香辛料であり、ガラムマサラやチャツネなどの調味料にも使用されています。また、ヨーロッパや中近東などの料理にも使用されており、チーズやソーセージ、ピクルス、パンなどにも使用されることがあります。

 

クミンの歴史

最も古くから栽培されているスパイスの1つと言われ、紀元前16世紀の古代エジプトの医学書「エーベルス・パピルス」にも記載されており、食用以外にもミイラの防腐剤としても使われていました。紀元前1400年頃のミケーネ文明でも使用されていた形跡があり、聖書の「マタイ伝」や「千夜一夜物語」にも記載されています。インドでも紀元前から使われていました。
日本へは19世紀前半に伝来しましたが、長らく馴染みのないスパイスでした。昨今のエスニックブームによりカレーを自作する人が増え、知らない人がいないほどに浸透しつつあります。

クミンのまじない

中世ヨーロッパでも他の地域と同じく、料理のスパイスや薬用に用いられていましたが、それだけでなく、クミンが恋人の心変わりを防ぐと信じられていました。このため、騎士が戦場へ行くときに恋人の浮気を防ぐお守りとして身につけたり、結婚式の時ポケットに忍ばせておくという習慣があったそうです。

 

クミンを使った料理

カレーの国インドでは、スタータースパイス(調理の最初にクミンを油で加熱して、十分に香りを引き出して使う方法)としてもよく使われています。カレーをはじめ、じゃがいもやカリフラワー、根菜の炒め物にもよく合います。また、炒めたクミンを米に混ぜて炊くと、カレーによ合う香り高いクミンライスが出来上がります。

メキシコ料理やテクス・メクス料理ではチリコンカーンなどに用いられるチリパウダーに配合されています。

その他、トルコ料理、ウイグル料理、ポーランド料理、レバノン料理、モロッコ料理、スペイン料理など、世界各地で、肉や野菜料理、煮込み料理、炒めもの、パン、チーズなどに広く用いられています。

 

 

クミンの効果・効能

クミンの独特の香りは消化器官を程良く刺激し、食欲増進させる効果がある他、消化の促進、腹痛や胃痛の緩和に効果があります。

また、心身をリラックスさせる作用があり、ストレス解消、免疫向上、がん抑制などの効果があると考えられています。

 

  • 食欲増進、消化促進、胃痛緩和
  • ストレス解消、免疫向上、抗がん作用

 

栽培することのできるクミン

日当たりと水はけの良い場所を好み、日本の気候でも育てることができます。暑さに弱いためインドなどでは冬に栽培しますが、日本では春から夏にかけて栽培ができるようです。