カルダモン/ Cardamon / 小荳蒄(ショウズク)

スパイスの女王 カルダモン

カルダモンは最も古いスパイスのひとつで、そのさわやかで上品な香りを「高貴な香り」と形容し、「スパイスの女王」とも呼ばれています。
インド、スリランカ、マレー半島が原産のショウガ科の多年草で、カーダモンとも呼ばれています。変種や近縁別種が多く、マイソール、マラバール、セイロンなどの品種があるほか、ブラックカルダモン、グリーンカルダモンなどと色で分ける場合もあります。

この植物は多雨で湿潤な木陰や水辺を好み、外見は葦に似た多年草で成長すると2~3メートルにも成長します。基部が鞘状になっていて、地面の近くに薄緑の白に赤紫の入った花をつけ、成熟すると1~3cmくらいの長楕円形で緑色の実をつけます。実の中には小さな種子が入っていて、これを乾燥させてスパイスとして利用します。

カルダモンは栽培も収穫も難しく手間がかかることから、サフラン、バニラなどとともに高価で貴重なスパイスとして取引されています。アラブ諸国ではコーヒーにカルダモンを加えて香りを付けて飲む習慣があり、高価なカルダモンを使ったカルダモンコーヒーでゲストをもてなすそうです。

カルダモンの歴史

カルダモンの名はヒンドゥー語でカルディア(心臓)の形をしたアモーマム(生薬)というところからきているといわれ、紀元前1000年以上前から生薬やスパイスとして利用されています。
紀元前4、5世紀頃には泌尿器系の病気を治し脂肪をとる生薬として、また上流階級の人々はビンロウの葉に包んで食後に噛むと、だ液の分泌が良くなることから、消化吸収の助けになるとして用いていたそうです。

古代エジプトでは「聖なる香煙」とされ、神殿での祈祷の際にたかれるお香の中に使用されてきました。チグリス河やユーフラテス河地域にあったバビロニア王国の紀元前8世紀末の庭園でも、カルダモンが栽培されていたそうです。
また、古代の権力者たちは常に毒殺の危機にさらされていたため、王室付きの医者たちはスパイスの防腐性・殺菌力に注目し、カルダモンをはじめとするスパイスを練り固めた解毒剤を調合し、王はこれを常用していたそうです。

北欧でも愛されているスパイス

実はスウェーデンなど北欧地域でもカルダモンは愛されています。8世紀ごろ、バイキングの時代にトルコのイスタンブールを襲撃し、そこで手に入れたカルダモンを母国に持ち帰り、スパイスとしての調理法を伝えたことがきっかけといわれています。 お酒を飲んだ後のアルコール臭を消すためカルダモンを噛む風習もあるとか。北欧ではパンや菓子の香り付けにもよく使われ、クリスマスのシーズンになると、街中にカルダモンのにおいが立ちこめると言われるほどです。

カルダモンの利用方法

カルダモンの原産地であるインドでは、コショウを「スパイスの王様」、カルダモンを「スパイスの女王」と呼び、カレーはもちろん肉料理の臭み消しやケーキの風味づけなどデザートに使います。実を潰さず丸ごと加えたピラフなどの料理はお客様をおもてなしする料理とされていたり、料理に欠かせない重要なスパイスのひとつで、北インドでは料理のベースになるガラムマサラに必ずといって良いほどカルダモンを入れています。

歓待のシンボルとされていて、中近東ではコーヒーにカルダモンの精油や種子の粉末を加えた「カルダモンコーヒー」が好まれています。サウジアラビアでは「ガーワ」と呼ばれる真鍮製のコーヒーポットの口に、割ったカルダモンを数粒詰めてコーヒーを注いで作ったカルダモンコーヒーがよく飲まれ、お客様をもてなす歓迎の飲み物とされています。

 

カルダモンの効果・効能

カルダモンには口臭を消す効果があり、ニンニクの臭いさえも消してしまうほどの強力な消臭効果を持つとされてます。また、悪酔い防止効果もあり、お酒と一緒に噛むと酒臭さを消すという目的もあってよく使われます。
また、カルダモン自体に消化を促進する効能があり、血の巡りを良くし、唾液や胃液を分泌して消化と脂肪燃焼を促進します。利尿作用もあるので、ダイエットにも効果的です。発汗作用もあるので、風邪のひき始めなどにも効果的です。

 

  • 口臭予防、体臭予防効果
  • 消化促進、ダイエット効果
  • 風邪予防効果
  • 精神安定、リラックス効果